認知症に備えよう

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2022年09月号

認知症は、高齢化に伴い、今や誰もがなりうる予防しきれない疾患と認識されるようになりました。ご家族、ご自身がなった時を考え、備えておく必要があります。

ご家族のもの忘れが、気になり始めた時、まず、誰に、どこに相談すれば、いいのでしょうか。まずは、かかりつけ医か、地元の地域包括センターに相談するのが良いでしょう。

山口県も令和元年からオレンジドクター(ものわすれ・認知症相談医)制度が発足し、認知症のことを気軽に相談できる医療機関が多くなっています。必要なら、認知症専門医に紹介してもらうこともできます。

オレンジドクター(ものわすれ・認知症相談医)制度

1軽度認知障害(MCI)

正常と認知症との境界のような状態です。

物忘れや注意力の障害などの認知機能障害がありますが、日常生活に支障がないため認知症とは診断されない状態です。MCIから、年間約10%が認知症に移行すると言われています。

2認知症の診断

記憶障害により、社会生活や日常生活に支障をきたしてくると認知症の状態といえます。

最も多いタイプは、アルツハイマー型認知症で、記憶障害のため、同じことを何度も尋ねる、同じものを買う、仕事でミスが増えた、料理が順序よくできなくなる等の症状で気づかれます。

日付、場所がわからなくなったり、意欲や関心が低下してくることもあります。次いで多いのは、レビー小体型認知症で、現実にはないものが見える幻視やパーキンソン症状を伴うのが特徴です。3番目に多いのは、脳血管性認知症で、脳梗塞や脳出血に伴うものです。

行動・心理症状(BPSD)は認知機能障害によって生じる思考や行動の混乱で、行動症状として、徘徊、暴言・暴力、不穏・興奮、焦燥、拒絶ならびに無為等、心理症状として幻覚、妄想、不安、抑うつ等があります。 

3認知症と診断されたら

本人には、適切な治療を受けてもらいますが、完治はむつかしいので、症状を抑える治療となります。ご家族が直面する認知症症状への対応は、簡単でないことも多くあります。

行動・心理症状(BPSD)は、周りの人を困らせますが、本人なりの理由が存在します。本人の尊厳を損なわないように対応に気を付けましょう。
やみくもに否定したり、力で押さえつけるようなことは、よくありません。

社会資源を活用し、家族と本人の負担を減らしていくことが、肝要です。介護保険の申請をし、介護サービスを利用します。例えば、デイサービスを利用し、本人を預かってもらい、家族の負担を減らすことができます。

本人も入浴のサービスを受けたり、リハビリ、レクレーションに参加したり、自宅にいるときより、脳を活性化できる可能性があります。

それでも、自宅での生活が困難な状況になれば、施設入所について、ケアマネージャーやかかりつけ医と相談しましょう。



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