心拍数 はやい?おそい?

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2013年05月号

choushinki 人の心臓の拍動回数、心拍数は24時間心電図(ホルター心電図)で記録してみると1日約10万回であることが分かります。1分平均70回くらいで、およそ1秒ごとに拍動していることになります。

 本川達雄氏の“ゾウの時間、ネズミの時間”という有名な著書があります。ハツカネズミの心臓は0.1秒ごとに拍動、心拍数は600回/分、ゾウは3秒ごとに拍動、心拍数は20回/分で、ハツカネズミの寿命は2~3年ですが、ゾウは70年くらい生きることもあるそうです。人間の時間の計測ではゾウが長生きということになるのですが、それぞれの時間の流れがあり、ハツカネズミの時間は速く流れ、ゾウの時間はゆっくり流れ、体の大きい動物ほど心臓はゆっくり打ち、時間の流れもゆっくりのようです。そして、哺乳類の心臓は一生に約15億回打つと決まっていて、心臓が鼓動する速さで、寿命が決まっているとの説があると書かれてあります。

 心臓の総拍動数が15億回とすると、人間の心拍は1日10万回ですので、人間の寿命は、計算上41歳ということになります。実際の人間の平均寿命はもっと長いのですが、動物と同じように自然界でくらしていれば、このぐらいかもしれません。

 心拍数は日中、活動時に多く、睡眠時に少なくなります。自律神経にコントロールされていて、交感神経の緊張で増加し、副交感神経の緊張で減少します。精神的な緊張状態では、交感神経が緊張し、心拍数は増加、血圧も上昇します。身体的な運動でも心拍数、血圧とも増加します。しかし、定期的に運動をしていると、副交感神経が強くなり、安静時の心拍数は遅くなり、少しくらいの運動では、心拍が増えにくくなり、運動でバテにくい、耐久性がついてきます。心拍数と脈拍数は不整脈がなければ、同じとなります。人間の成人の場合、安静時において、90回/分以上の心拍数であれば頻拍(頻脈)、50回/分未満であれば徐拍(徐脈)といいます。

 日常の心拍(脈拍)数は、少な目の方の方が長生きであると考えられています。日ごろから、頻脈ぎみの方は交感神経が緊張気味の方と考えられ、心臓などに少しずつ負担がかかるためでしょうか。本川氏の言うように一生に打つ心臓の回数がほぼ決まっているとすれば、ゆっくり目に心臓が打つ人のほうが長生きするという結果は矛盾しないようです。

 心臓が弱った、心不全の患者様に交感神経を抑え心拍数を減らす薬(βブロッカー)を少なめに使い、心臓を少しずつ休ませる治療で、生命予後が改善されることが証明されています。心臓の拍動を少しゆっくり目にして、リラックスして生きるのがいいようです。



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