2018年09月号
当院では、毎月、診察時に体重を測定させていただいておりますので、体重が増えていると、必ず気がつきます。
食べ過ぎで太ってしまった場合は、ダイエットして、やせていただくのですが、そうではなく、体調不良でむくんだため、体重増加となっている場合があります。
むくみは、医学的には浮腫といい、体の中の間質液量が増加することによって生じ、指で押さえると圧痕ができる腫れをいいます。
よくあるのは、足の浮腫で、下肢がだるいとか、靴がはきにくい、くつ下の痕が残るなどで気が付きます。
手に浮腫が生じたときは、指が腫れたために、手がにぎりにくくなり、顔が腫れた場合は、鏡を見て気がついたり、家族に指摘されたりして気がつきます。
浮腫には、全身性浮腫と局所性浮腫があります。
全身性浮腫をきたす原因は主に4つあり、
①心臓が悪い時(心不全)
②腎臓が悪い時(腎不全、ネフローゼ症候群)
③肝臓が悪い時(肝硬変症)
④甲状腺が悪い時(甲状腺機能低下症)
その他、であります。
全身性浮腫では、最初に述べたように、通常体重増加として把握できます。心不全、腎不全時は体液量の増加が、ネフローゼ症候群や肝硬変症では、低蛋白(低アルブミン)血症が主因で浮腫が生じます。この時、尿量は減少しています。
全身性浮腫に伴い、肺にも水がたまることがあり、肺水腫といいます。心臓が悪い時、心不全の時に多く、腎臓が悪い時、腎不全にも起こり、呼吸困難感、息苦しさを感じます。緊急に治療を開始する必要があります。お腹の中にも水がたまることがあり、腹水といいますが、肝臓が悪い時、肝硬変などでよく見られます。
全身性浮腫では、減塩が重要です。原因疾患の治療とともに、薬としては、利尿薬が使われます。利尿薬は強い薬に属し、多くで症状は改善しますが、不必要に多く、長期に続けると、体の電解質バランスを崩し、脱水状態に傾け、予後に悪い影響を与えることがあります。必要最小限の使用が望ましいです。
浮腫が片側性の時には、局所性の浮腫が考えられます。原因により、発赤、圧痛、熱感、変色等を伴うことがあります。主な原因として、
①蜂窩織炎など炎症によるもの
②深部静脈血栓症など、静脈の閉塞によるもの
③乳がん、子宮がんの手術等が原因のリンパ管の閉塞によるリンパ浮腫
④蕁麻疹などのアレルギーによるもの
等があります。
以上のほかに、薬剤性の浮腫もあります。高血圧の薬(カルシウム拮抗薬)、糖尿病の薬(チアゾリジン)、非ステロイド性抗炎症薬等が知られています。むくみに気づいたときは、内服中の薬についても、主治医とご相談ください。