胸が痛い、胸が苦しい

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2018年03月号

胸が痛い(胸痛)、胸が苦しい(胸部不快感)という症状は、大変心配な症状のひとつです。

このような症状を来す疾患には、多数の原因があり、軽症のものから重篤なものまであります。胸にある内臓(心臓、肺、血管等)に由来する痛み、胸に近い内臓(胃、食道、膵臓等)が原因のことも、筋肉、神経の痛み、精神的な原因のこともあります。

重要、重篤で緊急性を要する疾患には、急性心筋梗塞、心筋炎、肺血栓塞栓症、大動脈解離、緊張性気胸等があります。

急性心筋梗塞は胸の中央から左にかけての圧迫感が突然起こり、30分以上持続することが特徴で、狭心症(同様に胸が痛くなる疾患)では有効な硝酸薬の舌下が無効です。心臓の栄養血管である冠動脈が血栓で閉塞することが原因で、心臓の筋肉の一部が壊死に陥いる疾患です。通常は冷や汗を伴うような強い痛みで、生命の危険があり、直ちに救急受診が必要です。

まれに胸痛を訴えない心筋梗塞も存在します。胸痛はなくても、決して軽症というわけではなく、別の症状、例えば、嘔吐があったりして、胃の疾患と間違えられることもあります。無痛性心筋梗塞は、糖尿病を持っている方などに多く、注意が必要です。心筋梗塞になる危険因子は、高血圧、糖尿病、脂質異常症等です、日ごろからしっかりと管理、治療して、良い状態にコントロールしておくことが大切です。また、心臓病予防には、禁煙も重要です。

突然の胸痛に呼吸困難を伴う場合は、気胸、肺血栓塞栓症、肺炎、胸膜炎などの呼吸器疾患が考えられます。肺血栓塞栓症は、以前エコノミー症候群とよばれた疾患で、下肢の静脈(ふくらはぎ辺り)に血栓ができ、それが肺に飛んで、肺動脈を閉塞し、呼吸困難を生じ、生命に危険がある疾患です。

長時間同じ姿勢を強いられたり、トイレに行きにくいため水分を制限する状況等で、血液が濃くなり、下肢に血栓が生じやすくなります。近年では、地震などの大災害時に、車中泊をしている人などで頻発して問題となりました。このような場合でも、水分を十分とる、下肢の適度な運動をする、ふくらはぎをマッサージする、弾性ストッキングを着用するなどして、血栓ができるのを予防することが大切です。



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