コレステロールは高い方が長生き?低い方が長生き?

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2012年05月号

 現在、血液中のコレステロールは低い方が良いとされ、高い人は食生活、運動での指導を受けたり、薬を飲むよう指導されたりします。

 以前、コレステロールといえば、総コレステロールのことをいい、正常値は220mg/dl未満でした。現在は総コレステロールの主な成分である、LDLコレステロール(悪玉コレステロール 正常値140mg/dl未満)とHDLコレステロール(善玉コレステロール 正常値40mg/dl以上)を別々に測定して、判定しています。
 コレステロールは細胞の構成に必要な成分ですが、LDLコレステロールが多すぎると、血管壁などに沈着してゆき、動脈硬化が進みます。HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収する作用がありますので、逆に低い人が動脈硬化になりやすいといわれています。

 現在、数多くの研究で、コレステロール(主にLDLコレステロールのこと)が高いほど、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患になりやすく、死亡率も上がると報告され、薬で下げた人の方が、放置した人より死亡率が低下したと報告されてきました。
 しかし、数年前、コレステロールの低い人のほうが死亡率が高いとの発表もありました。これは、どういうことでしょうか?

 この結果の違いは、研究対象となった集団の性質の違いからくるのではと思われます。コレステロールの低い人には、遺伝的に低い人、栄養が不足している人、重篤な疾患があり衰弱している人などが含まれます。栄養状態の悪い人達は、動脈硬化にはなりませんが、他の疾患、感染症などで死亡しやすく、疾患をもつ人としては、がんや肝硬変の人などがコレステロール低値です。一方で、コレステロールの高い人は、遺伝的に高い人、栄養が過剰な人、運動が不足している人などが含まれます。
 これらの人は、動脈硬化性疾患が発症するまでは当面元気ですので、これらの2つの集団を直接比較すると、コレステロールが高い方が長生きであるとの結果がでるかもしれません。したがって、コレステロールがかなり低い場合は、原因となる病気が無いか、検索が必要です。

 現在の日本では、ほとんどの人が食事に困らず、運動不足ぎみで栄養過多の人が多い状態ですので、大部分の人はコレステロールが正常~高めです。したがって、このようなほぼ健康な中高年の人達の集団で考えると、コレステロールが高値の人に起こりやすい動脈硬化による疾患(心筋梗塞、脳卒中等)が問題ですので、コレステロールは正常~低めが良いということになります。

 過ぎたダイエットでの栄養不良状態は好ましくありませんが、食事、運動には留意して、コレステロールは正常範囲に保つのが、良いでしょう。


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