血圧の正しい知識(診察室血圧と家庭血圧)

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2016年12月号

ketsuatsu_keisoku血圧とは、血液が血管内を流れる時に、血管壁を押し広げる力をいい、通常動脈の血圧をいいます。血圧は、心臓の収縮による心拍出量と末梢血管の抵抗で規定されるので、高い血圧が続くと、心臓に負担がかかり、血管も障害を受けやすくなり、このため、脳卒中などの循環器疾患にかかりやすくなるのです。

血圧は、測定場所により、診察室測定血圧と診察室外測定血圧に分けられます。診察室外測定血圧には、公共施設、職場、薬局などの自動血圧計で測定された自己測定血圧がありますが、最も重要なのは家庭血圧です。

74歳までは、診察室の血圧は140/90mmHg未満が正常、家庭血圧は135/85mmHg未満が正常です。これらの値を超えると高血圧の可能性がありますが、人生の大半は診察室以外で過ごしますので、大事なのは家庭血圧の測定値です。また、正常血圧の中でも、理想的な血圧(至適血圧)は120/80mmHg未満ですので、100~110mmHg代の血圧は低すぎるものではありません。

血圧は自律神経の緊張などで刻々と変化します。1日では、朝、起床時が最も高く、夜間睡眠中が最も低くなっています。睡眠中は通常血圧測定ができませんので、家庭血圧測定では、夜の入浴後の就寝前くらいが最も低い値になると思われます。このため、家庭血圧は、朝の起床後と夜の就寝前に2度計測するのがよいと思います。

家庭血圧測定は座位で、上腕カフ血圧計を用い、1機会に2回測定し、その平均値を血圧値とします。血圧値が高いと何度も測り、低い血圧値を採用する方がありますが、実際は複数回計測では、上がる方、下がる方同数程度のようです。

診察室血圧と家庭血圧が大きく異なる状態に、白衣高血圧と仮面高血圧があります。白衣高血圧とは、家庭血圧は正常なのに、診察室での緊張のため、血圧が過剰に上がる状態です。これは、軽度のストレスで血圧が上がりやすいということなので、全く正常というわけではなく、軽症の高血圧と考えるのがよいと思われます。

白衣高血圧と逆の状態が仮面高血圧です。診察室の血圧は良好ですが、家庭血圧等、診察室外で高血圧を示す状態で、持続的な高血圧の方と同等のリスクがあると考えられています。早朝に血圧の高い方、通常血圧が低下する夜間に血圧が高い方、仕事中などにストレスで血圧が上がっている方などがあるようです。治療中の方では、診察時間にちょうど薬がよく効いているが、実際には多くの診察室外の時間帯では、高血圧のコントロールがうまくいってない状態です。仮面高血圧の状態の方では、心血管系の臓器障害を伴っている方も多く、注意が必要です。



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